木曜日。なんだかよく目が合う。帰り道に見た月がすごくきれいで、感動した。高島野十郎が何枚も何枚も描いた、あの月の絵のようだった。観る者の神経を逆撫でするほどに精緻な写実画を描いていた彼が、究極の単純といってもいい、暗闇に塗ったカンバスの中央に白く光るまるい月の絵を、何枚も何枚も描いた。その同じ絵をずらりと並べた展示を2年前、三鷹の没後30年展で観た。正直ある種の狂気を感じて、いまだに忘れられない。ただ、今日の月を見て、彼がああまでとり憑かれたのも、わかる気がした。
 携帯で撮った。野十郎のアングルはもう少し月の位置が高い