木曜日。メンコにて、ソロでのライブ出演を打診される。教室のメンバーで行う身内のものだけど、実質的には最初の登竜門になる。立ち位置的に、やらなきゃなという思いもある。一週間考えることにした。打ち込むもののあったほうが、心もからだも鍛えられるし、なにより埒の明かないもやもやに悩まなくてすむ。
金曜日。だらだらと続く恋心を地味に満たせた。小出しにたくさん話をする。独り身の長い大人なので、これ以上詰めないほうが最終的には楽しいんだというのも、もうわかっている。そもそもこちらから詰めにいったら、戦略的にも失敗である。適度な距離で、地道に積み重ねて積み重ねて積み重ねて、あとは何もしない。待つしかない。そもそもすぐにどうにかしようなんて申し出る相手には、たいてい誠意が足りない。帰りに本屋で散財した。最近、CDを買わなくなったかわりに、やたら本を買って土日に読んでいる。音楽はここ半年ほどずっと、聴く時間の9割をメンコが占めるようになった。だから、踊りもうまくなっているんだと思う。この日買った本の中では、内藤誼人の「グリーン心理術」がおもしろかった。著者は「ブラック心理術」シリーズで知られた方で、タイトルもそれのパロディと推測できるし、ビジネス心理学の手法を(内藤の定義における)ガーデニングの現場に落としこんで紹介するコラムというのが本書の狙いなんだと今となってはわかるだけど、この本を買った時にはそういうことをまったく知らなかったので、たんに「ガーデニングには、こんなにすばらしい効果がある」ことについての内容に共感し、読んでいて楽しかった。ほんとうに、ビジネスマンにこそガーデニングはおすすめだと力説できる。少なくとも、ガーデニングをやっていると、私みたいにはなれると断言できる(なりたいかどうかはまた別の話である)。今、職場のデスク上には、剪定して捨てるはずだった一枚の観葉植物の葉っぱを気まぐれに水に挿したところ、根が生えてきたので、そこから一年かけて水栽培して、さらに根っこを茂らせていたら、その茂った根の隙間からこの秋、新芽が大量に出てきた、というグリーンの子がいる。この葉っぱを見て、水をあげているだけで毎日、生命の力に感動する。
土曜日。ここしばらくの秋晴れで、盆栽の梅が季節はずれに新芽を出していたので、早合点してかわいいやつ、なんて見ていたら、今朝になってその梅に、白い花が4つも咲いていた。思いがけなくて、やっぱり感動した。