さっき、部屋の契約更新料を払いに、隣の棟に住む大家さんのうちへ行った。玄関先でふと、下駄箱の上にあったペーパーバックに目が止まり、驚いた。クワインのエッセイ集。思わず応対に出てきてくれた大家の奥さんに、クワインお読みになるんですか、私、卒論がクワインだったんです、と訊いたら、驚いた様子で、息子が大学院で今、研究しているんですよ、とのこと。慌てて奥に息子さんを呼びに行った。
なんとまあな展開なんですが、いわゆるひとつのご近所同士な某国立大生と某国立大OGのご対面です。こんなに近くにこんなに近い人がいたなんて、なんだか不思議な縁だ。クワイン好きにリアルで会ったのは、もちろんはじめて。
奥さんというか、この場合おかあさんなんだけど、彼女が一番饒舌で、クワインが一番好きなのよね、などと興奮して息子さんに語りかけてた。息子さん、クワインにも負けないくらいの、なかなかいい男だったよ。
私も私で、研究がんばってください、こっちもひさしぶりに勉強しなきゃ、なんて歓談して、ちょっと楽しい気分になれた。しかし、クワインでつながる人がこんなに近くにいたなんて、しみじみとにやにやしてしまう。あり得ないよ。